ガラス作りの始まり

ガラスとの本当の出会いは、イギリス・スターブリッジ

英国、ウースター郡スターブリッジ。
美術大学を卒業後に留学した、小さなガラスの町。

私のスタジオ・ガラス作家としてのスタートはその町からです。
スタジオ・ガラス作家というのは、自分の工房でデザイン・制作をする人のことです。それまで日本のガラス作家は、自分のデザインしたものを、工場の職人に作ってもらっていました。私の場合、それでは物足らなかったんですね。

八戸に帰郷し、工房とギャラリーのあるここ「石橋ガラス工房・スターブリッジ」をオープンしました。
私の工房には、工場やガラスの学校のように立派な設備がないので、昔ながらの道具技術だけで制作しています。
ピアニストはピアノ一台でショパンを表現できるように、ガラス作家も透明なガラスと色ガラス棒を使ってベネチアガラスを再現できる―。これには、手品師のような面白さがあります。

たとえば、今制作しているイギリスのヴィクトリア王朝時代のワイングラス。朝、溶解炉の中には透明のガラスしか入っていないのに、夕方には色とりどりのワイングラスが除冷炉の中で並んでいる。一日かけて常温まで冷やして、翌日にはこれでワインが飲める。そう思うと、少し誇らしげで、リッチな気分になりますよ。

(ICANOF free press 01に抄録)/このページは現在編集中です